中小零細企業の場合
売りやすい=シンプルな会社
中小零細企業のM&Aは一言で言えば「シンプルな会社」が売りやすい会社です。
以下で事例を見ていきます。
多い程揉める原因に
株主構成がシンプル
個人事業主のM&Aではさほど問題になりませんが、法人の場合は出資者≒株主等との調整が必要です。
歴史の古い会社では所謂名義株主なる方が多く(特に相続が絡んだ場合は)売却の賛否を取るのも一苦労です。
株主が社長1名(あるいは+配偶者のみ)の場合は比較的スムーズに話が進みます。
【用語解説】
●名義株
株主名簿に記載された株主につき、名義上と実際とが異なる者の株式のこと。平成2年商法改正以前は株式会社の設立に最低7名が必要だったため、社長(実際にお金を出す人)が親戚等の名義を借りて出資していることがあった。
切り分けがし易い
事業がシンプル
M&Aでは株式譲渡と同じく事業譲渡も多く行われます。
通常、株式譲渡する場合=事業の全部譲渡。
事業譲渡の場合=特定の一部分だけを譲渡することができます。
そのため、■■部門、▲▲部門といったように社内に複数部門があって各部門に独立性がある程に事業譲渡は分かりやすく・容易になります。
企業価値評価が明瞭
決算書がシンプル
事業規模の大きな会社や製造業などは、決算書が複雑になる傾向にあります。
業歴が長く浮き沈みや債務超過が激しい会社も、過去に不適切な決算をした形跡が散見されます。
問題ない会社ほど、借金が少なく財務内容がシンプルで分かりやすいものです。
プロなら決算書にどんな問題の可能性があるか、調査にどれだけリスクとコストがかかわるかを初期段階で知るのは難しくありません。
決算書の出来栄えは、自然に企業価値算定へと影響してきます。
誰からも評価される
強みがシンプル
買主側から見て、売主が持つ会社の強みがシンプルなほど、買収意欲が沸きます。
現状の業績が良くなくても、技術,ノウハウ,ブランド,従業員,顧客,商圏等に明確な強みがあれば、買手は付きやすくなります。
属人的要素が少ないのが吉
社内体制がシンプル
極端に言えば「明日から社長が居なくても回る」会社は、買主の評価が高くなります。
仕事が組織化されコンプライアンス上も問題なければ、M&A成立後も期待通りの利益を出せるからです。
数値管理・書類管理がキチっとしている企業ほど、買いたい企業となります。
零細企業で大事なこと
直感がシンプル
M&Aで大切なものは、売主・買主の相互理解にあります。
「売ってやる」「買ってやる」といった姿勢では、まず成功しません。
互いに尊敬と誠意を持って望むことが、結果として早期決着・売却希望価格の実現・従業員の雇用継続にも繋がります。
「面談当初から買主とウマが合わないな。。」と感じたら、早めに交渉を引き上げるのも手です。
特に小規模M&Aは、所詮「人と人との関係性」が良い結果を生みます。