失敗例1
個人保証が外せない
多くの中小企業の場合、銀行借入に社長(売主オーナー)が個人保証を付けています。
銀行には融資枠があり、社長の財産を当てにお金を貸している場合も多いのです。
M&Aで買収する場合、新社長(買主オーナー)の個人資産が少なければ、銀行が個人保証(売主オーナー)の解除に同意せず、結果として買収が成立しないことになります。
失敗例2
隠れ負債があった
中小企業の場合、大企業ではありえない会計・取引が行われることも多々あります。
株主=社長のため、社長の個人独断でどんな取引でも出来るからです。
- ●財産性の無い資産を計上していた
- ●訴訟トラブルを抱えていた
- ●潜在的に税務調査のリスクがあった
買主側が売主のデューデリジェンスを行なう場合、専門家による調査でリスクを軽減できます。
しかし、専門家報酬をケチることでリスクを発見できず、隠れ負債を掴んでしまうケースもあります。
失敗例3
従業員が離反した
M&Aでは、売主から買主へ従業員の雇用引継をお願いされることがあります。
事業運営に必要なキーマン社員が残ってくれることは嬉しい(残ってくれないと困る)のですが、職業選択の自由を完璧に封じ込めることはできません。
買主と従業員の相性が悪く、早期退職された結果、事業継続に支障が出る場合もあります。
オーナーチェンジしても急激な変化を求めることなく、現給与待遇等を最低でも半年は維持する等の工夫が必要です。
失敗例4
競業避止義務違反
悪質な売主の中には、M&A成立後間もなく、同業の新会社を立ち上げる場合もあります。
そうなると、せっかく買収したのに、後日新会社に得意先・従業員を取られてしまうかもしれません。
単に移転するだけなのに、居抜き物件を事業譲渡と称する売主には注意が必要です。
失敗例5
契約書が不完全
個人M&Aでは、契約書は非常にわかりづらいものです。
面倒なのでネットで拾ってきた「それらしい」契約書を作って、それで終了させた場合は危険です。
契約書は後々揉め事があったときに見返す程度ですが、売主は極端に言えば代金が入金されてしまえば以降は「我関せず」です。
つまり、契約書は買主のリスクを抑えるための防衛策で、非常に大切なものなのです。
可能な限り、弁護士による契約書レビューやアドバイスを受けてください。
失敗例6
許認可を引継げない
M&Aで会社を買収すれば、当然に許認可が引継げるわけではありません。
国・民間の認可(フランチャイズ契約・不動産賃貸借契約等)も、問題無く引継げるか確認しましょう。
M&Aの形態によっては、許認可が引継げない場合もあります。
失敗例7
資金を準備できない
個人M&Aは、副業の解禁も相まって今後間違いなく増えていきます。
買収には自己資金が理想ですが、銀行借入も手段の一つです。
ただ、個人の買主が経験したことのない業種を買収しようとした場合、一般的に銀行は難色を示します。
例えば、不動産業界でお勤めだったサラリーマンが、経験の無い飲食店を買収する場合です。
経験や一定の資金があることが、与信となります。
失敗例8
株式の取得にこだわる
M&Aといえば、売主から株式を取得するというイメージが強いと思います。
実際、売主からすれば株式譲渡の方が税制上メリットが多く希望される方も多いです。
しかし、買主からすれば、事業譲渡の方がリスク部分が移転しないので、訴訟・税務リスクを持つ株式移転より有利な場合があります。